Q.先生は、インプラントはやらないの?
A.安心・安全な治療を行いたいので、インプラントはやらず入れ歯をお勧めしています。
事故で前歯を1本失ってしまった若いEさんは、「先生は入れ歯専門って、ホームページに書いていましたが、インプラントはしないのですか?」と言われました。
インプラントは、歯ぐきとあごの骨を開けて金属の人工歯根を埋め、人工歯根をあごの骨に接合させて、その上に人工歯を被せる治療です。
「インプラントを否定するつもりはないのですが、いろいろな問題があるので今のところ、私はやっていません。」と答えて、次のように説明しました。「インプラントというのは、そもそも医学的には感染症学的に問題のある治療法なのです。もっとわかりやすく言うと、インプラントは体の外と内がつながったままの状態ですので、常にその境目が感染の危険にさらされた状態であるということが良くないのです。
よく人工関節や心臓の弁に使われているのも、インプラントと同じ素材のチタン合金という金属であるため安心・安全というふうに言われています。しかし、問題はそこではなく、人工関節や心臓の弁は、その全部が体の中に完全に入っていますから、何かに感染するというリスクが非常に少ないのですが、インプラントに関しては、一部が外に出ていて、一部が体の中に入っているので、外と内の境目の部分は、常に感染の危険があるという点で大きく異なっているのです。これは医学的に安心・安全な状態であるとはいえません。
そんな理由もあり、私はインプラントではなく、まずは入れ歯をお勧めしております。
しかしながら、もし私が理想とするインプラントが開発されれば、それは入れ歯治療にも利用できます。それは、不要な時には簡単に抜くことができるインプラントです。あえて言えば、「あと戻りできるインプラント」です。現在のインプラントでは、治療に失敗した場合にインプラントを撤去すると、あごの骨がごっそりなくなってしまうので、その後に入れ歯を入れるということも大変難しくなります。それでは患者さんはものが食べられないような状態になってしまいます。
そうではなく、インプラントを撤去した際にも、すぐに入れ歯を作って食事ができるような、そのようなリスクの少ないインプラントなら私も将来的には導入するかもしれません。
「入れ歯治療の新発想」
第1章 「逆転の発想」から考える入れ歯治療
第2章 新発想の「試せる入れ歯」
第3章 日本人に合った理想の入れ歯とは
噛みやすく、薄く、軽い 新開発の金属製入れ歯「ディアレスト」
第4章 入れ歯作りの真髄 私の入れ歯作りに対する取り組み
第5章 患者さんの本音に答えます
Q.自由診療は、保険診療と違って、なぜこんなに費用が高いの?
技工士からのメッセージ
※公的医療保険は適用できません。