Q.最初から金属床の入れ歯はできないの?
A.歯と歯ぐきのコンディションが良ければできます。
結論からいいますと、最初から金属床入れ歯(ディアレスト)にすることも当然可能です。ただ、歯ぐきも歯も両方とも、治療などの必要のない、安定している方なら大丈夫です。1~2本くらいの歯の治療がまだ残っている人ならば、あとで修正できるデザインをなんとか考えますので、おまかせください。しかし、それ以上に治療の必要な患者さんの場合には、私はいきなり金属床入れ歯を作ることはお勧めしないと思います。
もし残っている歯の中に、抜かなければいけない歯や治療すべき歯が3本以上あれば、その時には最初から金属の入れ歯を作るのではなく、プラスチックの「試せる入れ歯」をまずはお勧めしています。
なぜかと言うと、抜いたり、治療したりすると、口の中の状態が大きく変わるので、金属床入れ歯(ディアレスト)はつぎはぎだらけの入れ歯になってしまいますし、微妙に合わなくなってしまう危険があるからです。1~2本くらいなら修正のみで使えますが、3本以上になると、支障をきたすかもしれません。
せっかく高価な入れ歯を作ったのに、使えなくなればやはりもったいないですから、そのような場合にはプラスチックの試せる入れ歯で口の中を安定した状態にしてから、希望により金属床入れ歯(ディアレスト)をお作りしています。
さらに厳密に言いますと、金属床入れ歯(ディアレスト)を、1回でその患者さんに合った最高のデザインで作ることはおそらく私は難しいと考えています。試せる入れ歯のところでも書きましたが、作ったあとに、その患者さんに合わせて調整していく中で、もっとああしたい、このようにできたのではないかという点がいくつもでてくると思います。
つまり、1回目に作る入れ歯というもの自体が、完全にその患者さんに合わせているかどうかは本当は疑問が残るところです。患者さんの歯ぐきの状態や噛み方のクセもわからないのに、最初から患者さんにピッタリの最高のデザインのものが作れるということは私には断言しかねます。良い入れ歯はそんなに簡単にはできません。
ですから、口の中が良い状態の患者さんならば、1回目でも金属床入れ歯にされたら良いかと思いますが、少しでも不安のある方や限界まで良いものを追求したい方は「試せる入れ歯」でできるだけ良いデザインの入れ歯に仕上げてから、最後に金属床入れ歯にするほうが、長い目で見た場合に快適な入れ歯生活が送れると思います。
「入れ歯治療の新発想」
第1章 「逆転の発想」から考える入れ歯治療
第2章 新発想の「試せる入れ歯」
第3章 日本人に合った理想の入れ歯とは
噛みやすく、薄く、軽い 新開発の金属製入れ歯「ディアレスト」
第4章 入れ歯作りの真髄 私の入れ歯作りに対する取り組み
第5章 患者さんの本音に答えます
Q.自由診療は、保険診療と違って、なぜこんなに費用が高いの?