「試せる入れ歯」の型どり
良い型を求めて、何度でもとり直す!
治療計画が決まりましたら、入れ歯を作ることになりますが、その際に、私は極力、今の残っている歯の状態のままで入れ歯を入れることをお勧めしています。
なぜなら、万が一入れ歯自体を受けつけない方の場合、歯を抜いたり、治療してしまったら、元の状態に戻せないからです。歯を抜かず、治療も行わず入れ歯を入れてもらい、ある程度落ち着いてから、良くない歯をどうするか相談していきます。歯を抜いたり、治療するのは、入れ歯が安定してからでも決して遅くはありません。
そのほうが、患者さんへの負担もリスクも少ないのです。
また、普通に診断したら抜くべきである歯も、患者さんが抜きたくなければ、抜かずにそのままできる限りのケアをしていきます。そして後日、痛みや腫れで、抜くしか方法がない状態になった際には、相談のうえで抜くようにして、日常生活に差しつかえないように、抜いたその日のうちに入れ歯に歯を追加して帰っていただけるようプランを立てます。
つまり歯を抜きたくない方には、抜いた時に修正できるような工夫をあらかじめ入れ歯にしておきます。患者さんにとっては、本当に大切な1本ですから、患者さんの思いに合わせて、修正可能な入れ歯をお作りしています。
入れ歯を作る時、最初に行うのは、型どりです。患者さんに合う入れ歯を作るためには、精密な型をとることが必要不可欠です。保険診療で作る入れ歯の場合、型どりは1回行うだけですが、私の医院では、基本的に2回行います。
1度目は決まった大きさの既成の型ワク(トレー)を使って大まかにとり、その型を基にして、新たに患者さんの口に合わせたオーダーメイドの型ワク(個人トレー)を作ります。1度目の型どりは、いわば患者さん専用の型ワクを作るための型どりです。そして、2度目に患者さんに合わせた型ワクを使って、より精密にとるのです。
このような方法でとると、型どりをする時にしっかり圧力がかけられますので、2度目の型は1度目の既成の型では比べものにならないくらいに細部まで正確な型がとれます。
この型を失敗せず、妥協することなくとることが、クオリティの高い入れ歯を作るうえでとても重要なのです。
「入れ歯治療の新発想」
第1章 「逆転の発想」から考える入れ歯治療
第2章 新発想の「試せる入れ歯」
第3章 日本人に合った理想の入れ歯とは
噛みやすく、薄く、軽い 新開発の金属製入れ歯「ディアレスト」
第4章 入れ歯作りの真髄 私の入れ歯作りに対する取り組み
第5章 患者さんの本音に答えます
Q.自由診療は、保険診療と違って、なぜこんなに費用が高いの?