入れ歯治療は試してみないとわからない
入れ歯を入れた状態がどのようなものか、私から何時間説明をされたとしても、患者さんが本当に理解できるものは、実際に自分で入れ歯を入れてその状態を体感したときでしょう。
私も、入れ歯についての説明に自戒を費やすよりも、たった一度、「これを入れてどうだったか教えてください」と言って入れ歯を差し出す方が、短時間で正確にいろいろなことがわかります。
入れ歯とはそういうものです。
ある程度の説明を受けたら、とにかくあとは入れて使ってみてもらわないことには何もわかりません。
- 痛いのか
- 発音しにくいのか
- 噛めるのか
- 入れ歯だと他人にわかったりしないか
不安はもちろんあると思います。
しかし、もしそれらの症状が出てギブアップしたいなら、いつまでも入れ歯をやめて、また始める前の状態に戻ることができるとすれば、どうでしょう。それならダメでもともと、やってみようという気にはなりませんか?
1回で良いものを作ろうとすると、精神的に負担がかかります。「何度でもいろんなタイプのものを作り直しますよ」と言われたら、少しは気が楽になるのではないでしょうか。
先ほど、入れ歯は1回で完成させることが難しいと述べました。とにかく試しに作ってみてから次を考える…という具合に治療を進めていき、一つ一つ会談を上るようにゴールを目指せばよいのです。
窮地に追い込まれている患者さんほど、」とにかく完璧な治療を目指しがちです。
「入れ歯を作らないといけない」
「虫歯も直したい」
「ここの歯が動いているのでいずれ抜かなければならないかも」
「そうすると言った入れ歯はどうなるんだろう」
「また作り直しになるんだろうか」
「じゃあ治療はどこまでしておけばいいんだろう」
「でも今は入れ歯が欲しい」
そんな心配の悪循環も入り込み、どうすればいいのかわからなくなってしまうのです。
いろいろ不安なことはあると思いますが、完璧な治療を目指すなら、一段一段上がっていけば、その積み重ねによって必ずゴールにたどり着きます。大切なことは、「理解できない治療はやらない勇気を持つこと」です。さらにアドバイスするなら、「元通りに戻れる治療なら積極的になってみること」です。
この場合の「元通りに戻れる治療」とは、具体的には、歯を削らない、抜かないということです。入れ歯を試してみるということは、この点でもお勧めできる治療と言えます。
「入れ歯治療の新発想」
第1章 「逆転の発想」から考える入れ歯治療
第2章 新発想の「試せる入れ歯」
第3章 日本人に合った理想の入れ歯とは
噛みやすく、薄く、軽い 新開発の金属製入れ歯「ディアレスト」
第4章 入れ歯作りの真髄 私の入れ歯作りに対する取り組み
第5章 患者さんの本音に答えます
Q.自由診療は、保険診療と違って、なぜこんなに費用が高いの?