しっくり噛み合う入れ歯の理由
ここまで作業を行うから、しっくり合った噛み合わせの入れ歯になる
当院では、入れ歯を専門に取り扱っている歯科技工士が院長の管理・指示のもと、入れ歯の調整を行うことがあります。
噛み合わせを一例としてご紹介します。
入れ歯だけではありませんが、補綴などでも噛み合わせを確認する際、カーボン紙を噛んだり、噛んだ状態で歯を前後左右に動かす時があります。カーボン紙の状態を確認しながら微調整を行うためです。
その際に使用するカーボン紙の厚みが薄ければ薄いほど、誤差をなくして噛み合わせを向上させた製作物になります。
上の写真をまず見てください。
赤色と黒色のカーボン紙が2枚あります。これは、入れ歯などのかみ合わせを見る時に使うカーボン紙なのですが、その薄さが右と左では異なります。
左の少し紙っぽいカーボン紙は、30ミクロン(1000分の30ミリ)で、右のビニールっぽいカーボン紙は、8ミクロン(1000分の8ミリ)です。
ほとんどの歯医者さんは左厚みのあるカーボン紙を使います。(もっと厚みのあるカーボン紙を使う先生もいます)技工士でもこれを使う方が多いです。当院では薄い8ミクロンのカーボン紙で何度も丁寧に調整します。
その差はおよそ4倍です。つまり、歯医者さんは4枚重ねて印記している状態なので、しっかり噛んでいるということになります。しかし、実は8ミクロンではあまり噛んでいないのです。
髪の毛が口の中に入った時に、すごく気になりますし、すぐに口から吐き出したくなりますよね。この髪の毛の太さは、日本人で80ミクロン・外人で50~60ミクロンと言われています。
つまり、80ミクロンの異物感はすごく気持ちが悪く、誰でも気になるはずです。その10分の1の8ミクロンだと、ホコリのレベルになります。ホコリでしたら、たとえ口の中に入ったとしても気付かない人も多いと思います。
それくらいの調整を、8ミクロンのカーボン紙を使って行っています。なので、それでバランスよく噛み合わせを調整した後はしっくりした噛み合わせになったと言われます。
この調整には、30分~1時間ほどかかります。当院の歯科技工士独特の方法ですので、歯医者さんの調整とは少し異なります。
道具の種類で大きな差が出るしっくりくる噛み合わせ
これは、赤や黒色に印記されたカーボンを見ながら、入れ歯の噛み合わせ部分を丁寧に削る道具のバーの先端の種類です。
左の2本のバーの先は結構大きいですよね。多くの歯医者さんではこれを使います。
そして、一般的な技工士は中央のバーを使います。私は右の2本のバーを使います。8ミクロンの薄いカーボン紙で印記されたものを削るのは、より細かい先端のバーでないと削れません。ダイヤモンドのブリリアントカットほどではないですが、噛み合わせ部分を細かく丁寧に削るからこそ、しっくりくる噛み合わせになります。
当院のような入れ歯専門の技工士の調整方法は異なります。
それぞれ先生の考え方や患者さんとの関係もあるので一概には言えませんが、使っている材料や道具から違うのです。
上記レベルの調整を行うことにより、ほぼほぼ問題なく快適にご使用いただける入れ歯になったと仰っていただけることを目指して噛み合わせを考えております。