入れ歯専門の技工士の視点

プライベート歯科横濱ブログ

入れ歯ならプライベート歯科横濱にお任せください

夜中入れ歯ははずすか、つけるか

入れ歯をされている患者さんからよく聞く質問の一つに、寝る時には入れ歯ははずしておくべきか、つけておくべきか、というものがあります。
答えは、人それぞれです、というのが正直なところなのですが、入れ歯を入れておいたほうがいい症例はいくつかございます。

 

それは、かなりご高齢になられた患者さんの場合に、夜中にトイレに行かれる際に、入れ歯をいれていないと平衡感覚を失ってころんでしまう場合があるので、付けて寝てくださいとお伝えしています。
また残っている歯が数本あり、飛び石のように離れて残っている場合に、夜中寝ているときに歯ぎしりなどで強くかむようなことがありますと、その歯が強く動かされまして、早々にグラグラ動き出すかもしれません。
ですので、残った歯を守るという意味で寝る時も入れ歯を入れてくださいとお伝えする場合もあります。

 

寝ている時は口が乾くのに、さらに入れ歯を入れるとなおさら口が乾燥するので嫌だというご意見もありますが、残った歯を守ることと、入れ歯を入れずに立ち上がって腰がぬけてしまうようなことも考えられますので、それよりも入れ歯を入れるのに慣れていただいたほうがいいかと考えております。

 

しかし、どうしても入れ歯を入れたら眠れない場合や、精神的に強く苦痛を感じるという場合には、睡眠の方が体全体にとって大切ですから、その場合には、睡眠をとることを最優先にしていただきたいと思います。
入れ歯のために体が悪くなっては本末転倒ですから、まずは睡眠を第一に考えていただいて、次に歯を守るというスタンスでいいかと思います。

 

また、総入れ歯の患者さんや入れ歯をはずして寝ても問題のない患者さんの場合、はぐきを休めるという意味で入れ歯をはずして寝られるというのも、いいと思います。
日中は、入れ歯ではぐきが圧迫されていたり、負担がかかっていますので、寝ている間だけ負担をかけずに、休ませるという考えもいいと思います。

片側だけの入れ歯ができるか

奥歯が1本~2本抜けた状態である患者さんから、たまにご相談のお電話をいただきます。
口の中全体に渡る入れ歯だといやなので、抜けている部分だけの小さな入れ歯が作れるかというご質問です。

 

当然、残っている歯の状態によりますが、一部分だけの小さな入れ歯を作ることは可能です。
はじめはやはりプラスチックの入れ歯で異物感や着け心地を試していただいて、食べ物もしっかりと食べられるか確認してもらったうえで、最終的に薄くて安定している金属の部分入れ歯をお勧めします。

 

金属にすると、入れ歯ではなく、つながったブリッジのような感覚に近くなると思います。
ほとんど異物感もなくしっかりと使えますので、入れ歯を入れていることもすぐに忘れるかと思います。

 

ただし、片側だけの入れ歯が作れるのは、抜けている部分の前後の歯が健康であることが大前提になります。
抜けた部分というのは、歯が悪くなって抜けたわけでしょうから、前後の歯も完全に健康であるかどうかはきちんと確認しなくてはなりません。
健康でないのに部分入れ歯を作って、早く歯がダメになるような結果になれば大変です。
その場合には、もう少し入れ歯の土台(床)部分を長く伸ばして、その他の歯で入れ歯を支えなくてはいけません。すると少し弱っている前後の歯でも早く悪くなることは少ないかと思います。

 

口の中全体に渡る入れ歯よりも、一部分の入れ歯の方が、それはもう確実に快適ではあります。ですからできるだけ一部分の入れ歯で済むほうがいいと思います。
前後の歯を守るためにも、抜けたら早めに次の入れ歯作りに入ったほうがいいかと思います。

 

1ヵ月以上も1~2本歯のない状態で生活すると、前後の歯にかなり負担がかかります。つまり悪くなる可能性が高まります。
抜いた部分の歯ぐきには柔らかい材料でやさしくケアしながら、入れ歯は早めに装着して、かみ合わせも含めてバランスを維持していくのが最適です。

 

片側だけの入れ歯がいいかどうか、試してみて使ってください。
もし使いにくければ、もう少し安定した両側にまたがった入れ歯に作り替えることも可能です。

20代で入れ歯

20代の方でも入れ歯の方はいらっしゃいます。
大きな症例の方はさすがに少ないですが、1本~数本の入れ歯の患者さんは結構いらっしゃいます。
まだお若いので入れ歯ではなくブリッジやインプラントを好まれる人もいますが、さまざまな問題点をお話しすると、まずは入れ歯をやってみるという考えになる人も多いです。

 

そして入れ歯を試してみてどうしてもダメだという人は、だいたい次にブリッジを選ばれています。

 

入れ歯の一番の欠点は、異物感があることです。特に前歯の場合には話すときに舌があたりますので、イヤだという人も多いです。
でも試しにやってみると、それほど異物感を感じなくて、「これくらいだったら大丈夫です。隣の歯を削るよりもぜんぜんいいですよ。」という人も結構います。

 

入れ歯は実際にやってみないとなかなかわかりません。人によって口の中の感覚はちがうので、個人差がかなりあります。

 

中には20代で総入れ歯の人も過去にいました。
子供の頃から歯みがきをほとんどしなかったとおっしゃっていましたが、歯が虫歯のために根の部分までなくなっているような状態でした。
20代なので、あごの骨はしっかりとありますから、入れ歯は案外うまく作れましたが、入れ歯を入れた後の悪い根や歯を抜く治療でドクターがかなり苦労されたようです。
ぼろぼろになった歯を抜くのはとても大変だそうです。

 

入れ歯の技工士としましては、ブリッジよりも入れ歯にしてほしいという気持ちはありますが、どちらがいいかは患者さんが体験して決めるのが一番だと思います。
1~2本まで歯が抜けただけならばブリッジにもできますが、それ以上だとブリッジもリスクがあるので、早め早めの治療をお勧めします。

 

当医院で入れ歯を生まれてはじめて作られたお若い人の多くが、これ以上歯がなくならないように、頑張って歯みがきをしますと言われます。
自分の歯というものがどれくらい大切なものであるかを知っていただける良い機会になったとも思いますので、一度入れ歯をやってみるというのは、なかなか貴重な体験だと思われます。

歯が2本残った入れ歯

歯が2本残っている場合に、一番気になるのは、残っている歯の位置です。
歯自体の健康状態も当然大切ですが、作り手の技工士としましては、残っている2本の位置がかなり重要になってきます。
安定した良い入れ歯になるかどうかは、この位置に左右されるので、できるだけ離れた位置にきれいに2本残っている場合には、思わずありがたいと思ってしまいます。

 

<左右の奥歯に1本ずつ残っている症例>
理想の位置と言えば、左右の奥歯に1本ずつ残っている状態です。
これは、上下のかみ合わせをとる時にも左右に奥歯がしっかりありますと、安定したかみ合わせがとれます。
基準になる歯が左右にあるというのは、入れ歯を作るうえで非常にありがたい状態です。
入れ歯を作ってもかなりの確率でうまくいく症例だと言えます。

 

ただ歯の位置は良くても、歯自体が歯周病で弱っていたり、曲がって生えていたりしますと、少し考えて作らないといけなくなります。
2本しか残っていない患者さんの場合にその2本とも健康な歯でしかもきれいに歯が生えているというのはまれですので、患者さん一人一人に合わせて、最適な設計で入れ歯を作る必要があります。

 

<前歯に1本、奥歯に1本残っている症例>
この場合には、左右どちらかの奥歯が残っている方が入れ歯としての安定が良くなります。
逆に歯の無い側の奥歯の部分が浮きやすくなりますので、反対側はかみにくかったり、食べ物が入れ歯の下の入ったりする場合もあります。
できるだけそうならないように、残った2本を利用してぴったりした入れ歯を作るのですが、止める歯があるのとないのとでは、どうしても若干の差はあると思います。
ただ、歯はなくとも歯ぐきの山がしっかりあれば、1本残った側に負けないくらい安定した入れ歯にはなります。

 

実際には皆さん右がみ左がみのクセもありますから、今までかんできた側に歯が残っているとこれまで通りにかみやすいですし、逆にかんできた側に歯が無い場合には、入れ歯でかむということに慣れていかないといけないので、少し大変だとは思います。

ブリッジか、入れ歯か悩んでいる人

ブリッジは自分の歯とそれほど変わらないという意味で非常に優れものであります。
おそらく異物感もなくこれまで通りの生活を快適に過ごせるだろうと思います。

 

ただし、いくつかブリッジの良くない点をあげますと、まず前後の歯を削らなければならないということ。
前後の歯が何らかの治療をすでにされているようでしたら納得できそうですが、健康な自分の歯をわざわざ削る必要があるのか?という疑問があります。

 

そして、3本以上歯がつながると複雑な形になりますので、結果、歯磨きがどうしてもやりづらくなります。
すると、虫歯や歯周病などになりやすくなるので、悪くなりやすいということにつながります。
あとは、そもそも1本1本独立して生えている歯をつなぐということでの影響がないか、仮歯で長期間、経過観察してから作らないと、いきなりブリッジを作るのはリスクが高いという点です。

 

若い年齢の人の場合には、スポーツなど活動的に動きますので、入れ歯では生活しづらい面もあり、ブリッジにする傾向は多いと思いますが、しっかりと歯のケアをしていかないと、今度は3本とも歯が抜けた場合には、またブリッジというわけにはいかなくなりますので注意が必要です。

 

入れ歯の場合には、歯が悪くなるような問題は最も少なく、むしろ入れ歯ははずせますので、前後の歯もきれいに清掃できます。

 

かみ合わせと歯ぐきの管理を定期的にきっちりやっておけば、あまり心配することはありません。
ただ入れ歯の良くない点は、やはりその異物感です。
入れ歯はどうしても歯の部分だけではなく、歯をつなげる土台(床)部分がありますので、できるだけ薄く作ったとしても、舌にはあたりますから異物感が生じます。
また何かモノをはめているという感覚もはじめは大きいと思います。

 

時間が経過すると、例えば腕時計やメガネもほとんどつけていることを意識しなくなるように、入れ歯もつけているのを忘れるくらいになるかと思います。

 

入れ歯は、前後の歯を削ったりしないので、リスクが非常に少ないのですが、入れ歯を朝晩出し入れして洗浄しないといけないこと、場所によっては食べている時にはずれる場合もあることなど、異物感に関するデメリットがあります。

 

この異物感をあまり気にしない人や、慣れて適応しやすい人にはぜひ入れ歯をお勧めします。入れ歯でも充分快適な日常生活が送れますので、ぜひ試してみてください。