2025/03/09
私は入れ歯専門の歯科医院で歯科技工士をしていますので、自分の作った入れ歯がどんな結果になるかを、日々感じることができます。
これは歯科技工士としては、非常にありがたい環境で、ドクターや患者さんからの反応を直接目にすることができるのです。
入れ歯がうまく入ったときはうれしいですし、うまくいかなくて調整が大変なときは、単純に悲しいです。
現在ではそれほど調整の必要がない入れ歯作りができていると思っていますが、生身の患者さんの口の中にピッタリ合う入れ歯を作るためには、非常に細かい作業が必要になります。
加えて患者さんの話す言葉にもしっかりと耳をかたむけて、患者さんがどうしてほしいのかをつかまないといけません。
1人として同じ口の人はいませんから、すべてがオリジナルといいますか、標準サイズというものがない中で、ドクターと患者さんと一緒になって個性的で独特な入れ歯に仕上げていかなくてはならないのです。
最近では、見た目を強調される患者さんが多いので、気に入った口元の歯並びにするために、何度も歯を並べ替えたり、作り直したりしています。
そしてこの歯並びを決める時に、歯科医院で働く歯科技工士として最も力を発揮できます。
なぜなら、患者さんの口の中に入れたり出したりしながら、何度もチェックして一番見た目の良い歯並びにできるからです。
こだわりの強い患者さんの場合には、歯並びに数時間かかり、さらに家に持ち帰っていただいて、数日間じっくり確認してもらったうえで、仕上げることもあります。
そうして最終的に、患者さんが気に入った見た目の歯並びになり、満足した入れ歯を使用していただけたら、我々としても非常に喜ばしいことです。
通常、ほとんどの患者さんが歯科技工士のいない歯科医院で入れ歯をお作りになっているかと思います。
それでもうまくいっている場合もあるかもしれませんが、私は経験上、患者さんの口元を見ないで歯を並べるのは、非常に難しい仕事だと思っています。
くちびるのふくらみ具合や頬のハリ方、笑ったときのくちびるの上がり方、上下の歯の見え具合、顔全体を見たときの歯並びの印象など、数え上げたらきりがないほど、その患者さんに合った歯並びを見つけるという作業は、奥が深いものです。
患者さんを直接何度も見ながら、より良くより美しく修正していくという作業がどうしても必要になってきます。
例えば、何かの絵を描くときに、実物を目の前にして描くのと、想像で描くのでは、似て非なるものになります。
歯並びも実物の患者さんを前にして、くちびるや頬、全体のイメージをつかみながら作ることで、美しい歯並びになります。
また、その他に、入れ歯特有のものとして、異物感という問題があります。
これを解消するためには、まず舌の大きさや動き、頬の形、話している時や噛んでいる時の動かしている動作まで見て予測して調整しないと、うまくいかないと思います。
技工士が、口の型だけを見て、それ以外の情報は何もないという状況で、想像して作るなんて不可能です。
人は頬や舌なども当然1人1人違いますので、平均的に作っても異物感のある人の場合には、直接その人を観察して、経験から予測して調整していくというのが、最良だと言えます。
まずは患者さんの言葉をよく聞いて、そこから口の中をドクターとともに観察して、これまでの経験から予測を立てて、違和感の少ない形やデザインに修正していくのです。
この作業を何度も繰り返せば、おのずと快適な入れ歯に近づいていきます。
このように、入れ歯の審美的な部分や形・デザインの問題などにすぐに対処できるというのことが、歯科医院に入れ歯専門の歯科技工士がいるメリットだと言えます。
他にも、ちょっと入れ歯を落として割ってしまった、ぶつけて欠けさせてしまった時の簡単な修理・修正とか、グラグラしていた歯が1本抜けてしまったので、歯を追加してほしいという時にも、歯科技工士がいれば約1~2時間でそれらの作業は終えられます。
その日のうちに、数時間できれいに修理・修正できますので、突然困ったことが起こっても安心していただけるかと思います。
このメリットは他の医院にはない最大のメリットかもしれません。
2025/03/09
歯が抜けたままの状態で長い年月過ごされた患者さんの場合、それまで入れ歯を入れていなかったわけですから、まず入れ歯自体に慣れるということが第一だと思います。
また抜けたままでしたので、歯ぐきが弱っていたり、舌が抜けた歯の位置まで広がっているような場合もあります。
歯ぐきが弱っているならば、入れ歯を作っても最初はあまり強くかめないかもしれませんが、徐々に使い慣れていくにしたがい、歯ぐきも締まってきて段々と固い食べ物でもかめるようになるかと思います。
また、舌が広がってしまっている人でしたら、本来入れ歯がある位置まで舌が広がっていますから口の中が非常に窮屈(きゅうくつ)に感じられるかと思います。
これに慣れるには最低でも2週間~1ヵ月はかかると言えます。
だんだんと舌も動かしやすくなりますし、舌をかんだりすることも少なくなっていくかと思います。
作り手の技工士はできるだけ入れ歯の内側にあたる舌側の土台の部分を削るようにします。
すると多少ではありますが、口の中が広く感じられ、食べ物も動かしやすくなりますから、入れ歯も少し使いやすくなります。
今まで入れ歯を入れてなかった人は、はじめて入れ歯をされるわけですから大変な部分もあるかと思いますが、前向きに取り組んでいただいて、どんどんしゃべって、どんどん食事もしていかれますと、ますます入れ歯に慣れやすくなるかと思います。
要は入れ歯を使う練習を毎日行っていくというつもりで頑張っていただきたいのです。
今まで入れ歯を入れてなかった人の場合、入れ歯を作ったらすぐに食べられてよかった、もっと早く入れ歯を入れればよかったと言われる人もいますし、逆に入れ歯の異物感が強くて慣れるのに時間がかかる人もいます。
つまり、入れ歯は、作って使ってみないとわからない面があります。
その際に、できるだけ良い入れ歯にされたほうが、慣れやすいですし無駄な苦労もしなくてすむと思います。
あまり良くない入れ歯を最初に作って使った場合に、二度と入れ歯はやらないという考えになってしまうかもしれないですから、費用は多少かかりますが、自由診療でより質の高い入れ歯を作られることをお勧めします。
使いやすく、慣れやすい入れ歯は、生涯の友になると思いますので、ぜひ良質な入れ歯をお求めください。
2025/03/09
歯医者さんにすすめられて、インプラントにしようか、やっぱり怖いから入れ歯にしようか悩んでいるという患者さんは多いです。
入れ歯であまりうまくいっていない患者さんの場合に特に多いかと思います。
それは単純に自分に合った良い入れ歯に巡り合えていないだけのことなのですが、なかなか長年通っている先生の所から変わることも悪いように思っていらっしゃるのでしょう。
しかしよく考えてみれば、長年通っている患者さんに入れ歯がうまくいかないからインプラントをすすめるというのもちょっとおかしなものだと思います。
われわれ歯科の人間からすると、インプラントほど成功させるのに難しいものはないですし、入れ歯がしっかり調整できないのに、インプラントのかみ合わせの調整なんて本当にちゃんとできるものなのか、疑問です。
入れ歯は取り外しや作り直しができますが、インプラントは一度骨に埋めたら外さないのが基本ですし、歯の部分もセメントでガチガチに固めてしまいますので、全く変更のきかないものであるという考えでいなくてはなりません。
作ってからずっと死ぬまで良い状態でいてくれたらいいのですが、何十年も安全に確実に安定しているものなんて体の中で存在するでしょうか。
年を重ねれば、人間だれでも体力も体の状態も変わってきます。
なのに、インプラントの部分だけ全く変化がないなんてことはないんじゃないかと思います。
年を重ねるたびに変化し、その変化に合わせてうまく調整していくのが、毎日の生活でしょうし、口の中も全く同じだと思います。
変化に合わせて対応できる入れ歯の方がやはり危険でない分、お勧めではあります。
それでもとにかく強く噛みたいという意志の強い患者さんは、インプラントがいいと思います。
入れ歯で何でもガシガシ噛むということは難しいので、高いリスクを理解されたうえで、丁寧な治療をしていただける医院にて、インプラントをしてください。
料金面で適正な料金のところがお勧めかと思います。
2025/03/09
50代以上になられますと、入れ歯の対象になる患者さんはかなりいます。
歯そのものは50年以上保ってきているので問題ないのですが、歯周病が原因で歯を失っている方がほとんどです。
歯のまわりのケアさえうまくされていたら、ずっと残っているはずの歯なので、もったいないのですが、かなりグラグラになった状態では、残っている歯に逆に悪影響になる場合もあるようで、抜いて入れ歯にするというのが最善の選択と考えられることも多いです。
当医院の院長は、平均年齢を基準にしまして、50代~60代の人では、まだこれから30年~40年の年月がありますので、リスクの高い治療はやめて、入れ歯でしっかり食べられるようにしていく方法をお勧めしています。
入れ歯にはいくつか大きなメリットがあります。
天然の歯やインプラントの歯は、磨きにくい部分もきれいにしないといけないですし、なかなか素人の歯磨きで本当にきれいに磨けているかと言えばそうではないことも多いでしょう。
それに対して、入れ歯は外に出して洗えますので、まず入れ歯自体をきれいに洗えます。
そして次に入れ歯をはずしたら、残っている歯も非常に洗いやすくなります。
洗うという面ではこんなに単純で便利なことはないのです。しかもきれいに洗えますから残っている歯も長持ちしやすいのです。
とうとう入れ歯になってしまったという残念な気持ちもあるかと思いますが、入れ歯専門の技工士としましては、前向きに入れ歯で快適な生活ができるように取り組んでいただけたらうれしいです。
一生懸命、最善の入れ歯を作るように努力しますので、ぜひ入れ歯での生活も好意的に考えて試していただきたいと思います。
2025/03/09
入れ歯に使う金属には、主にコバルトクロムという合金や、チタン合金、金合金などがあります。
通常、コバルトクロム合金が多いかと思いますが、高価な金やチタンで作る患者さんもいらっしゃいます。
金はご承知のように金属の中でも体に害が少ないと考えられていて、それはチタンも同じですが、金で作る入れ歯は非常に重く、チタンは反対に非常に軽いので、チタンを好まれる患者さんのほうがやはり多いです。
上あごの入れ歯は、重いと落ちやすさにもつながりますので、軽くて丈夫なチタンが一番お勧めです。
一般的に使われているコバルトクロムという金属でも充分素晴らしい金属であり、丈夫で硬い金属です。
コバルトに対するアレルギーなどがある患者さんの場合には当然使えないですが、多くの患者さんがこの金属で満足できる入れ歯を使っていらっしゃいます。
金属でできた入れ歯は、長期間使えますし、丈夫で安定しています。
プラスチックの入れ歯と比べますと、その厚みの薄さや強度は比べものにならないくらいと言えます。
ただ、あまり丈夫すぎて残っている歯に負担をかけ過ぎてはいけないので、入れ歯全体の設計をよく考えて、バランスのいい入れ歯に仕上げなくてはなりません。
うまく出来上がった金属の入れ歯は、食べ物を食べた時に力が加わっても、安定してたわまないですし、入れ歯がズレたり、動揺したりすることも非常に少ないと言えます。
費用はかかりますが、できるならば入れ歯は最終的に金属の入れ歯にされるのが一番いいかと思います。
長い年月、口の中を安定させて過ごせるというのは何ものにも代えがたいものだと思います。残っている歯を維持していくうえでも、入れ歯の安定は必要不可欠な要素です。
金属製の入れ歯は、厚さがうすいのに、硬くて丈夫であり、長持ちし、プラスティックに比べてバイ菌の付着も少ないので衛生的です。
その費用に充分見合った価値があると思います。ぜひお試しください。
プラスティックから金属製の入れ歯に変えて、良くなかったと言う患者さんは当院ではこれまで一人もいないです。