2025/03/09
入れ歯に使うプラスチック部分は、レジンという樹脂でできています。
このレジンにはさまざまな種類がありまして、レジンの液と粉を混ぜるとすぐに固まるものや、熱を加えないと固まらないものなどたくさんあります。硬さも強いものから弱いものまであり、今では色もいろいろなカラーがございます。
ピンク色した歯ぐきに接触する部分は、主に熱で固まるレジンであり、歯ぐきを再現するのに適しています。
透明感のあるものや、透明感のないものまで数種類のレジンがあります。白い歯に使われるレジンは、レジンの中でも特に硬いレジンであり、実際の歯に合わせて3層構造で作られていたりします。
歯の白さも多種類あり、形や大きさまで含めると、相当な量の種類が世界各国の製造メーカーから製品化されています。
レジンは入れ歯を作るうえでなくてはならない材料であり、非常に扱いやすい商品です。シンナーに似た臭いがある場合もありますが、きちんと作られた入れ歯であれば、ほとんど臭いなどはないかと思われます。
レジンはプラスチックですので、強度は金属のように強くはありません。ですから、ある程度の厚みというものがどうしても必要になってきます。
保険診療で作る入れ歯はだいたい3mm~4mmの厚さはあるのではないでしょうか。
私の作る入れ歯はその半分近い1.5mm~2mmくらいで仕上げています。
入れ歯というのは口の中にプラスチックを入れなくてはいけないのですが、少しでも異物感が少なくなるようにいろいろなアイデアを駆使して作っております。
また、入れ歯に使う材料はレジンというプラスティックだけではなく、金属で作る入れ歯もあります。
全体が金属ではなく、骨組みの部分や外からは見えない部分を金属で仕上げます。
当然、プラスティックよりも丈夫で長持ちし、薄くてしっかりしてますので、入れ歯としてはプラスティックよりもかなり快適な入れ歯になります。
かみ合わせの歯の部分は金属製でも硬質レジンという、硬いプラスティックになりますが、土台が金属だとかむ力もアップして、より使いやすい入れ歯になります。
今お使いのプラスティックの入れ歯よりももっと良質な入れ歯を求める場合には、金属製の入れ歯がお勧めです。
2025/03/09
3~4本残っている場合には、残っている位置と歯の健康状態がとても大切です。
入れ歯としては、3カ所以上に残っていた場合に非常に安定のいい入れ歯が作れますし、反対に1カ所だけに並んで残っていると、そこではしっかり食べ物がかめますが、他の部分ではかむ力がどうしても弱くなる場合もあります。
さまざまな症例が考えられますが、いくつか紹介します。
<3カ所に歯が散らばって残っている症例>
残っている歯の位置に関しましては、非常に良い条件ですので、ほぼ問題ないと思います。
あとは歯の健康状態だけです。入れ歯も左右で安定しやすいですし、バランスの良い入れ歯になることが予想されます。
唯一心配なのは、異物感に適応できるかどうかということです。
3カ所に散らばっている場合は、やはり全体的な入れ歯になることが多いので、入れ歯の土台(床)部分の異物感に慣れるかどうか、ここだけが問題です。
それさえ慣れれば、入れ歯としては、非常に使いやすく快適な入れ歯になる確率は高いです。見た目のほとんど問題ないと思います。
<2カ所に歯が離れて残っている症例>
この症例は2本の歯が2カ所に残っている場合とそれほど変わりません。
むしろ2カ所に数本ずつ残っているのですから、入れ歯としてはよりしっかりした入れ歯になります。
例えば、左右奥歯に2本ずつ残っている場合は、技工士としても非常に作りやすい入れ歯になります。
ぜひこの残っている奥歯3~4本を大切にして、ずっと残していただきたいと考えます。そうすれば入れ歯でもかなり快適に食べ物がかめますし、力も入ります。
また、左右奥歯ではなく、どちらかが前歯の場合には、入れ歯の部分が力が入りにくく、かみづらくはなるかと思います。
そして、どうしても残っている歯の部分でかんでしまうと思うのですが、その場合には、できるだけ左右バランスよくかんでもらうことを心がけてください。
自分の歯の方でばかりかむのは、正直お勧めできませんので、入れ歯の方でもしっかりかんでください。
2025/03/09
入れ歯を作るうえで、型どりをするのも大変なくらいの、嘔吐反射の激しい患者さんが時にいらっしゃいます。
入れ歯を作ったとしても、入れ歯が入れられるかな?と心配になるくらいの患者さんもいます。
耳鼻科で治療のために薬をのどの奥に塗る時に「オエーッ」とえずくのは、よくあることですが、のどの奥ではなく、かなり手前の奥歯の近くから上あごの天井部分でも、「オエーッ」となる人はいます。
このような患者さんの場合には、だいたい総入れ歯であっても上あごの天井をすべておおうのは無理なので、馬蹄形といって天井をくりぬいた形の入れ歯になります。
上の入れ歯は本来なら天井部分をすべておおうような入れ歯がしっかりとしていて、食べ物も食べやすいですし安定しますが、入れられない場合にはどうしようもないので、くり抜いた形の入れ歯にします。
多少入れ歯がぐらつきやすいですし、はずれることもあるかもしれないですが、かみ合わせをしっかりと調整すれば、充分使える入れ歯になりますし、慣れていくかと思います。それがどうしても慣れない場合には、今では入れ歯安定剤というものも市販されています。
これは毎日毎日つけ直さないといけないですが、粘着性がありますので、入れ歯は比較的とまりやすいです。
ただし、歯ぐきにぴったりあった入れ歯でないと歯ぐきに悪影響が及ぶかもしれないので、入れ歯はきちんとしたものをお作りください。
これまでも嘔吐反射の強い患者さんはいましたが、一旦入れ歯を入れてみると、意外に慣れて大丈夫ですという人もたくさんいらっしゃいます。
ほとんどの人は、生まれてから一度も上あごの天井部分にモノを入れるということはないので、最初はびっくりされる人もいますが、これでいくしかないという決意をされて、1週間入れ歯を入れてみたら、適応して使えるようになりましたという感じの方が多いです。
最終的には、入れ歯のかみ合わせも安定してくると、少し上あご部分をくりぬいても入れ歯は動かないので、できるだけギリギリの範囲までくりぬいて使っていただくようにします。
上あごの部分は食べ物や飲み物を食べた時に、味を感じる重要な部分なので、何もなければそれに越したことはないですから、何度も調整しながら一番ベストな位置までくりぬいていくことで入れ歯生活も快適になると思います。
2025/03/09
入れ歯を新しく作って入れた時に、多くの患者さんがしゃべりづらいと言います。
今まで何もなかった部分に入れ歯が入ってきますから、異物感もありますし、舌が動かしにくいという印象が強いと思われます。
発音しにくい原因は、まずこの舌の動きがうまくいかないからというのが第一に考えられます。舌が入れ歯に慣れてくるには、だいたい2週間はかかると思ってください。
声は、舌が歯・ハグキ・入れ歯に当たる当たり方で変わります。
毎日よくしゃべり、よくかんで食べるようにして使って行きますと、舌もよく回って動きますので、日に日に慣れていくかと思います。
よくしゃべり、よくかんで食べるというのが、入れ歯で発音しやすくなる一番の方法です。
しかし、1~2週間使っても、やはり大きく改善しない場合には、入れ歯自体に問題があります。舌が当たる部分のプラスチックが分厚すぎたり、必要以上に長いことが考えられます。
患者さんが例えば「たちつてと」がどうしても発音しづらいとおっしゃったならば、その「たちつてと」の発音の時に舌が当たる、奥歯の内側の部分を丁寧に削って調整していくこと大切です。
発音する言葉によって舌が当たる部分は異なりますし、患者さん個人個人でも微妙な違いがありますので、時間をかけて丁寧に調整していくしかありません。
プラスチックでどうしてもダメな場合には、最終的にプラスチックから薄い金属へ作り直せば、発音もそれほど問題ないという患者さんが多いです。
金属製の入れ歯は費用がかかりますが、その分、丈夫で変形ぜず、発音もしやすく、食べ物・飲み物の熱が伝わりやすいので食べ物の味もおいしく感じられます。
今では、入れ歯でも快適な入れ歯が作れますので、ぜひチャレンジしてもらいたいです。
2025/03/08
上の前歯と同様に、見た目の面で非常に重要な位置にある歯になります。
男性の場合に特に下の前歯はよく見えますので、この部分の歯が1本ないだけでも、顔の印象が何か抜けた感じになってしまいます。
女性は下の歯よりも上の歯が見えやすい傾向にありますので上の歯ほど目立たないとはいえ、1本歯が抜けた際には下の歯であれ、どうしても見た目が変なイメージになってしまいます。
ただし、上の前歯ほど歯並びに神経質にならなくても、自然になじんでいるように見えるような歯並びであれば、ほぼ問題なく入れ歯ともわからないようにすることは可能です。
また入れ歯にした際に、下の入れ歯の場合には、上の入れ歯のようにはずれて落ちる心配もないのですが、上よりも下の入れ歯の方がかなり小さな入れ歯になりますので、取り扱いには注意する必要があります。
●中央の歯(1番目の歯)
下の歯ではありますが、真ん中に位置しますので、うまく歯並びをしないと、おかしなイメージの歯になってしまいます。
多くの患者さんは多少乱れた歯並びをされていますので、そのわずかな乱れにうまく合わせた位置に歯を並べると、非常に自然な歯に見えます。
下の前歯は歯の中で一番細い歯になりますので、入れ歯としても一番小さいものになります。
紛失しやすいとも言えますので、お取扱いは十分ご注意してください。
小さい分、入れ歯の中でも最も違和感の少ないものと考えてもいいはずですが、舌がいつも当たっている位置にあるので、人にとっては非常に異物感を感じるという患者さんもいらっしゃいます。
●中央の横の歯(2番目の歯)
この歯は真ん中の歯よりもわずかに大きいだけで、ほとんど真ん中の歯と変わりません。
入れ歯を作った場合でも、ある意味で歯並びもしやすいですし、1つ横の位置に犬歯がありますので、比較的しっかりと入れ歯をとめることが可能になります。入れ歯としましては、真ん中の歯よりも安定した良い入れ歯ができるかと思います。
問題を上げるとしますと、舌が感じる異物感がやや大きくなりますので、その問題が解決できれば、入れ歯で十分に生活していけるかと思います。
●犬歯(糸切り歯、3番目の歯)
下の犬歯は前歯の中でも大きな歯になりますし、根が長い歯になりますので、単独で抜けているという症例はあまりございませんが、この歯は前歯と奥歯の移行部になる大切な歯なので、入れ歯になったらかみ合わせの調整をしっかりとしておく必要があるかと思います。
特に歯をギシギシ横すべりさせた時の調整が重要になってきます。
何度も調整をしてちょうどいい具合にギシギシできるくらいにしてもらってください。
理想的には上の犬歯に隠れるような位置に並んでいるのが普通ですが、その他の歯とのバランスを考えて並べれば、1本なのでうまく並べられるかと思います。
上下の犬歯で食べ物を引きちぎったりしますが、入れ歯の場合には天然の歯のような力はないので、この部分で食べ物を引きちぎるようなことは難しくなります。