2018/01/06
長年食べられなかったたくあんを食べられるようになったというお話や、
入れ歯でもするめをバリバリ食べているお話など、昨年もいろいろうれしい話やお声を聞かせて頂きました。
入れ歯とはわからない、自分の歯のように自然な見た目でありながらも、きれいな歯になったことで、感謝の言葉をいただくことも多々ありました。
本年も昨年以上に、患者さんから、「いいね!」と言われるような入れ歯を作っていきたいと思う所存です。
そのためには、とにかく新たに来院される患者さんを、来られた時よりも数段良い状態で満足して帰っていただくという強い意志を持って仕事に取り組まねばなりません。
医療はマイナスをゼロに戻すだけの行為のように思われがちですが、そのうえさらにプラスアルファされた入れ歯や差し歯を提供できるように、努力していきたいと思います。
どうぞ本年もよろしくお願いいたします。
2017/12/25
入れ歯というのは、歯が抜けてしまった所に人工の歯を入れて作る技工物です。
この時に、どの高さや位置に歯を並べるか、どれくらいしっかりかませるかなど、歯を一番理想的な所に並べる作業を「歯の排列」と専門的には言います。
これは、もっぱら歯科技工士の仕事で、ドクターの情報をもとにして考えることは山ほどあります。
しかしながら、歯科医師はあまり歯並びを重要視しません。実際に歯を並べる作業を自分ではやっていないからと言えますが、技工士でも保険診療の既成の入れ歯を数多く量産して作っている人は、深く考えて歯を並べることは少ないと言えます。
この歯並びはとても大切で、理想的な位置に歯を置かないと、さまざまな部分で支障がでてきます。食べ物を食べる時に、力が一番入りやすい位置に歯がなくて、少し高い位置にあるだけで、食べにくくなります。歯で食べ物をうまくつかみながら、なおかつ細かく砕いていかないといけないわけですから、非常にその位置が大切なのです。
食べるだけではなく、しゃべったり、ただ口や舌を動かすだけでも邪魔な位置に歯があると、不快ですし、舌をかんだり、ほほが傷つくことにもつながります。
多くの歯医者さんは、適当に上下でかんで当たっていたらそれでいいという考えであるため、なかなか口の中で何とも言えないしっくりしたおさまりの良い入れ歯と言うのは、提供されにくいように思います。
自由診療で腕のある技工士が質の良い入れ歯を作っても、ドクターが同じようなレベルでないと、せっかくの自由診療の入れ歯も台なしになってしまいます。
『あれっ。自由診療で入れ歯を作ったのに、こんなものかな?』と思っている患者さんがいらっしゃいましたら、そのような理由があると思っていいでしょう。
歯並びは、見た目以上に機能性に大きく影響しますので、ちょっと移動させただけでも、入れ歯全体のバランスが狂ってしまうケースはあります。
もともとの骨格やかみ合わせが少しズレている患者さんの場合には、この歯並びは要注意です。普通に並べているだけでは、きっとはずれやすかったり、痛みがでるようなこともあるでしょう。一度作っただけでうまくいかない時もあると思います。
入れ歯はあくまで人工物ですが、1人1人の生身の体に合わせて、最も最適な状態に仕上げていかなくてはいけないので、単なる物づくりと違うところがあります。
われわれプロの技工士が作ったから良い入れ歯になるわけではなく、使って行く中で患者さんの言葉をよくよく聞いて、その入れ歯に手を加えて修正しないといけないことも多々あります。
生身の口の中で最高のパフォーマンスができる入れ歯を作ることは、非常に難しいですが、楽しい仕事でもあります。
入れ歯は患者さんと二人三脚で作っていくものだとよく言われますが、まさにその通りで、ぜひともいろいろな意見や気持ちを伝えていただきたいと思っています。
1人として同じ体・同じ口の人はいません。なので、できるだけ良い入れ歯を作っていきますが、作ってからも患者さんには、感想をいろいろ言っていただきたいと思います。そして、共に良い入れ歯になるようにしていきましょう。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
2017/12/02
先日、9年勤めている助手が、歯が全部つながっている、長いブリッジの仮歯の患者さんの時、「すごい良い音がしました」と言いました。
私はそれを聞いて、「おっ。ちょっと一流だね。」と答えました。
そうです。
入れ歯でも、ブリッジやかぶせ物でも、また天然の歯の場合に特にそうですが、
なんとも言えない、『コンコン』という良い音がします。少しこもった音ですが、重厚感のある良い響きがします。全体的にバランスよくかめている時に、このような響きになります。
技工士駆け出しの頃、上下総入れ歯の患者さんが、「入れ歯がなんかカチカチと変な音がする」というので先生が丁寧に調整された後、改めてよく聞いてみると、『コンコン』というなんとも言えない良い響きがして感動したのを、思い出しました。
患者さんはかみ合わせもよくなったと言って大変ご機嫌で帰っていかれました。
入れ歯で音というのも、おかしな話に思われるかもしれないですが、かみ合わせがいまいちだとなかなか良い音はしません。むしろ、まとまりのないような音がしたり、カンカン鳴るような時もあります。
良い音ということで言えば、いつもとは違う高級な革靴を履いて歩いた時にも、同じくとても良い響きがするんじゃないでしょうか。なんとも言えない重厚感のある靴音を聞きながら歩いていると、少し自分がかっこよくなったかのような気分にさえなったりしないでしょうか。
靴の場合も、きっと地面に対してバランスよく当たっているから、このような音がするんだと思います。
入れ歯のかみ合わせに限らず、『良い音がする』というのは、さまざまな分野で1つのポイントになっているんじゃないかなと予想します。
2017/10/27
先日も保険診療で入れ歯を作られた患者さんの入れ歯を拝見しまして、いつも思うことですが、なぜこれほど分厚く作るのか?、針金のようなバネも必要以上につけているのか?
疑問でいっぱいでした。
しかもかむ力を支えるために、大きな奥歯をけっこう削られてもいました。本当に健康な歯を削って問題ないのかなと危惧します。
口の中にそのような大げさな入れ歯を入れて、快適に生活することは普通に考えて難しいと思います。院長がよく言いますが、犬や猫に限らず、人間の赤ちゃんや幼児でも入れ歯を口に入れられたら、確実に吐き出します。
大人の理性があってはじめて入れ歯は道具として使っていただけるものです。
だからこそ、少しでも患者さんにとって負担にならない、過ごしていてわずらわしくない入れ歯に仕上げていかなくてはならないのです。
例えば、ネックレスや腕時計、眼鏡など、肌に直接的に着けるものを、嫌がる人もいれば、全く問題なく着けている人もいます。個人個人で身に着けるものの、うっとおしさは異なり、さらに身に着ける箇所によりちがってくるものです。
入れ歯も同じように、上のあごは全く気にならないけれど、下の入れ歯がどうも気になって仕方がないという人がいます。反対に、下の入れ歯は自分の歯のような感覚で、着けているのも忘れているのに、上の入れ歯は長時間いれていると、うっとおしくなってくるという人もいます。
その場合に、保険の入れ歯は、既製品のようなものですから、大きくデザインや設計を変更することはできません。なぜならば、決められた方法以外は、保険申請できなくなって、歯科医師がお金をもらえないのです。よほど良心的な歯科医師でなければ、わざわざ大きな変更をしてまで、入れ歯を作り直したり修正したりしてくれないでしょう。
だいたい、入れ歯といいますか、口の中というのも、人の顔と同じで千差万別です。
それにピッタリな入れ歯を作ろうと思えば、そう簡単にはいかないのです。
保険診療の画一的な作り方では、とても患者さんになじむような入れ歯は作れないと思います。
ただただ、歯科医師の先生に言われたので、我慢して慣れるようにして使ってるという患者さんが多いと思われます。
21世紀のこの豊かな時代で、先進国の中でも上位にある日本において、なぜ今だに安かろう悪かろうの入れ歯で悩まないといけないのか、私はかなり疑問に思っています。
良い入れ歯はあります。皆さん、それを知らされていないだけです。
保険診療が当たり前の世の中なので、歯科医師もわざわざ良い入れ歯を紹介しないですし、むしろ本当に良い入れ歯を知らない歯科医師がほとんどと言っていいと思います。
患者さんにとっては、ほとんど知らされていないので、かわいそうな状況です。
ぜひ保険診療中心でやっている歯科医師の先生たちも、もっと良い入れ歯を理解していただいて、入れ歯を使われる患者さんにご紹介していただきたいと思っています。
良い入れ歯は、バランスもよく、かみ合わせも安定し、長期間にわたって快適な生活が送れます。見た目だけではなく、機能的にもすぐれた良い入れ歯をぜひ使ってください。
口や歯の問題から解放されて、人生を豊かに過ごすための、1つの道具として、良い入れ歯はかなり役立つと思います。
2017/10/04
技工士の関戸です。
前回の続きのような話になりますが、われわれは、専門家が言うことや、りっぱな先生が話したり考えたりしたことを、鵜呑みにする傾向はあると思います。
歯科の世界は、もともとほとんど欧米の考え方といいますか、欧米からの教育が基本になっているのですが、よくよく考えますと、同じ人間とはいえ、日本人の口や歯の治療をするのに、かなり体格も食べている物も違う文化の人を基準にした考え方で、果たして日本人にピッタリ合った治療ができるのだろうかと、ふと疑問に思います。
日本人でも、女の人と男の人とでは、体格やサイズ、力など、大きな差があります。
食べ物、着る物、使う物。それぞれに女性用。男性用。あるはずです。
同じものが使えないことはよくあります。
そして、欧米人と日本人を比べた場合、もしかしたら、日本人の男女の差よりも大きな差があると言ってもいいかもしれません。
それなのに、欧米人をもとに考えられた理論や理屈で入れ歯を作った場合、どうなるでしょうか。
単純に考えますと、強すぎる、大きすぎる、頑丈すぎるだろうと予想できます。
そして、実際にそのような入れ歯がほとんどだと思います。
もちろんそのような考え方で作られた入れ歯で不自由なく生活されている人も多いと思いますが、私は繊細な日本人に合わせて、もっと歯にやさしい、口にやさしい入れ歯にできないかといつも思っています。
今では当院にかぎらず、いくつかの医院で新しい入れ歯が作られていますが、私はこれからももっと、日本人に合わせたいろいろなタイプの入れ歯が開発されることを期待します。
欧米の理論や設計・デザインではなく、現実の日本人の、男性向き、女性向きなど、さまざまなタイプに基づいて考えられた入れ歯ができたら、バリエーション豊富な入れ歯治療になっていくと考えます。