2019/12/21
技工士の関戸です。
インプラントは、あごの骨に芯となる棒をねじ込みますし、ブリッジは、前後の歯をかなり削り落として、かぶせるので、どうしても危険なリスクもありますし、やってしまった後に、元に戻してくださいと言っても、もう元には戻せません。
しかしながら、入れ歯は、今現在の口のままで、型だけとって作り、使うことができます。そして、もし使ってみてどうしてもよろしくないということでありましたら、入れ歯をはずして使わなかったらいいだけです。歯を削るわけでもなく、手術のようなことをすることもなく、非常に単純でシンプルな治療方法です。つまり、もとに戻すことができる唯一の方法でもあります。
そうして、入れ歯がどうしてもダメだなと思った後から、ブリッジやインプラントを考えてもいいかと思います。
ただし、1点だけ注意点があります。保険診療でも自由診療でも入れ歯を作る場合、多くの歯科医師は、前後の歯を削ります。入れ歯を止めるための処置として歯を削るのですが、健康な歯をわざわざ削らなくても作れる入れ歯が実はあります。入れ歯を専門的に扱っていて技術の高い医院であったり、当院も歯をまったく削らずに入れ歯を作れます。
また、大きな症例、つまり、歯がたくさん抜けている人の場合には、インプラントもブリッジも複雑になり難しくなるはずです。入れ歯も簡単ではないですが、入れ歯は全体的に調整や修正をすることができる点がいいところです。しかも何回も作り直すこともできます。
ブリッジやインプラントは先ほども書きましたように、やり直しができません。数年後、もし他の所の歯が抜けたりした場合には、どうなるでしょうか。その抜け方にもよりますが、入れ歯の場合には、歯を追加することもできますし、新しく作り直すこともできます。ところが、ブリッジやインプラントは追加したり、作り直したりはできないと考えていいかと思います。つまり、また別の治療となってしまいます。
すると、以前のブリッジやインプラントと、新しく作るブリッジやインプラントとが、口の中で本当に全体的にバランスよくなっているのか、理想的なのかは、疑問になります。
将来的にどこが抜けるかはっきりわかっていれば、口の中全体でバランスを考えながら、一番初めの治療も的確にできると思いますが、現実はどこが抜けるかわからないのが当たり前ですから、一番初めの治療の影響を少なからず受けることは予想されます。
いろいろな箇所で何回もインプラントやブリッジをやった後というのは、果たしてどんな口の中になっているのか、想像ができないと思います。当医院に来院される患者さんの口の中を見させていただいても、もう少し全体的なバランスを考えたうえで作れなかったものかなというお口の状態の方は多々いらっしゃいます。
それならば臨機応変に作り直せる入れ歯に、かなりメリットはあるかと考えます。そういうさまざまな面で考えましても、入れ歯は非常に安全で安心できるものだと言えます。
2019/12/12
技工士の関戸です。
当院に来院される患者さんのお悩みの中で、非常に多いのが、今使っている入れ歯の具合が悪いというものです。
来院して下さいまして、どこで入れ歯を作られましたかとお聞きしますと、近所の保険診療の歯科医院で作りましたという入れ歯が圧倒的に多く、痛かったり使いにくかったりするとのことです。
もう少し丁寧に作ってあげたらいいのに、と入れ歯専門の技工士としては思うのですが、その入れ歯をセットした歯科医師も、入れ歯を作った技工士も、いろいろな状況もあった上で、そのような入れ歯になってしまったのでしょうから、そのことばかり言っていても仕方がありませんので、われわれは、できるだけ良質な入れ歯を提供することに専念するようにしています。
保険診療で作る入れ歯は、部厚かったり、太いひっかけのバネがついていることが多いです。
いわゆる旧来タイプの入れ歯になるのですが、このタイプの入れ歯を使われていると、次から次へとひっかけている歯がダメになっていきやすいです。最初は1本だったのに、いつのまにか大きな入れ歯になってしまったという患者さんの言葉もよく聞きます。最初の1本の入れ歯をしっかり作っていたら、そんな大きな入れ歯にはならなかったはずですのに、ほんとに残念だなと思います。
今使っている入れ歯に不具合があって通院されていて、何回も歯科医院に通っても、まったく変わらないとか、あまり変化がないということでしたら、やはり入れ歯自体に根本的な問題があると考えられます。最初の入れ歯の作り方が悪いか、作ってから調整する技術が足りないかの、どちらかの可能性が高いです。
この場合は、最初から作り直すのが一番ですが、なかなかそうは言っても、やってもらえないことの方が多いと思います。何度も調整しても改善しない場合は、もともとの入れ歯があまりよくないと考えていただいていいかと思います。傷や病気は治るのに、1週間以上の日数がどうしてもかかると思うのですが、入れ歯は単なる物(道具)ですので、その道具によって痛みがあったり、不具合がある場合には、入れ歯のどこに原因があるのかを、鋭く分析して、改善すれば、ほとんど解決することが多いです。
ポイントがずれた調整を行うと、ほぼ改善しませんが、ポイントがぴったり合った調整をすると、ビックリするくらい改善するものです。原因を見極めて、正しい処置をするとういうのが大切ですが、実はこれがなかなか簡単なものではありません。歯科医師と協力しながら、作り手の技工士として適切で正確な処理をする必要があります。歯科医師の調整だけでは難しいこともままありますので、よく検討されてください。
2019/12/10
入れ歯専門技工士の関戸です。
奥歯が1~2本抜けたままなのですが、このままで問題ないでしょうか。というご質問はよく言われます。
抜けた歯の位置がどこなのか?によりますし、かみ合わせた時のかんでいる歯の関係にもよりますが、基本的には何もしないでいいということはないと言えます。
特に一番奥の2本の大きな奥歯は、歯の中でも横綱や大関と言ってもいいくらい、非常に大切な歯になります。この歯がなくなるというのは非常に大きな問題で、左右のバランスも崩れやすくなりますし、それまで耐えてきた力を他の歯が負担しないといけなくなりますので、適正な処置をされることが一番だと思います。
さらに、抜けた歯の前後の歯まで、ダメになってしまうことがないように、何らかの治療を受けるというのが、一般的ではないかと考えます。
入れ歯専門技工士としましては、いきなりインプラントやブリッジをしてしまう前に、入れ歯を入れて使えるかどうか確認していただきたいと思います。
入れ歯は、単に型を取るだけで作れます。抜けた前後の歯を削ったり、加工したりすることはありません。保険診療の場合に、入れ歯を固定するために、健康な天然の歯をかなり削ってしまうことがままありますが、そのような処置をしなくても作れる入れ歯が今はありますので、歯が抜けたところにだけ入れ歯を入れて使ってみるというのが、一番リスクの少ない方法だと思います。
歯が抜けたところの、前後の歯を守っていくことはとても大切で、入れ歯の場合には、入れ歯をはずしてきれいにハミガキすることが可能となりますが、ブリッジやインプラントの場合、前後の歯をきれいに清掃するのは、それなりに難しいと考えられます。そうしてまた前後の歯がダメになることになってしまえば、さらに歯を失っていくことにつながりますので、どうしても入れ歯では嫌だという人でなければ、まずは入れ歯をうまく使っていかれるのが得策です。
これ以上悪くならないように、しっかりと設計された入れ歯を作って、清掃しやすいきれいな状態を維持しながら、毎日の生活を過ごしていただきたいと思います。
2019/12/03
入れ歯を使われている患者さんはさまざまで、大きな入れ歯から小さな部分入れ歯まで、ありとあらゆるケースがあります。
その中でも、自分の天然の歯よりも入れ歯のほうが本数が多い場合、あるいは、ほとんど歯が残っていない場合には、自分の歯で食べ物をかむというよりも、入れ歯を中心に考えて、入れ歯をうまく使って行くということが、大きなポイントになります。
この場合、残っている歯に合わせて、入れ歯を作っていくよりも、口の中全体のバランスを考えたうえで、残っている歯は、入れ歯を使いやすいように、うまく利用するための歯と考えたほうがいいと思います。
決して、残っている歯に大きな負担をかけるのではなく、入れ歯自体が独立して機能するような形で設計して使って行くほうが賢い方法かと思われます。
材料面で話しますと、プラスティックよりも金属製の入れ歯の方が、かなり安定感がいいです。入れ歯自体がたわみにくいですし、ほとんど変形しません。
プラスティックの入れ歯は修正しやすいという面はありますが、長期間使用していくことを考えますと、かみ合わせのバランスを維持していくことは重要ですので、金属製でしっかりした入れ歯にされるのが得策です。
例えば、口の中の右半分がブリッジになっていて、左半分が歯が抜けて入れ歯になる場合、左右で大きな差が生まれてきます。右半分はブリッジですから金属やジルコニアで作られていて、左半分はプラスティックというバランスの悪い状態になります。
できるだけ左右差の少ない状態にするには、同じく金属製の入れ歯にすることで、たわみがなく、強度・耐久性に優れ、かみ合わせの安定感も増します。すると、長期的に見て、残っている歯にも余計な負担をかけ過ぎないでいいですし、毎日の使用感も良くなります。
大きな入れ歯を入れる患者さんは、最終段階の入れ歯として、ぜひ金属製で作ることをおすすめします。
2019/08/29
保険診療で作った入れ歯が不快なので、こちらの自由診療の入れ歯を作りたいということで来院される患者さんは結構いらっしゃいます。
われわれスタッフは、今使われている入れ歯を見せていただいただけで、どれくらいのレベルの入れ歯であるか、どれくらい不快なものであるかなど、ある程度想像できるのですが、患者さんは、やはり実際に作ってみて、使われてからでないと、当たり前のことですが、なかなかご理解いただけません。
サンプルをひと目見て、見た感じでも良さそうな印象は持っていただけているのですが、実際に自分の口の中に入らないと、なんとも答えようがないというのが、本当のところだと思います。
丁寧に説明をさせてはいただくのですが、一人一人歯の形も大きさも違いますので、要は、作ってからの勝負になってしまいます。初めて入れた時の感想が、作り手の技工士としましては、一番楽しみでもあります。
その時に、「保険の入れ歯とは、ぜんぜん違いますね。」と言われると、非常にうれしいです。作る前から、お使いの入れ歯を拝見して、きっとこれよりも喜んでいただけるだろうと予想してはいますが、改めて、そのお言葉を聞くと、ありがたいですし、あるいは、2回目の調整の時に、「1週間ほど使ってみて、前の入れ歯よりもぜんぜんいいです。」と言われたら、本当にうれしい限りです。反対に、良い仕事をさせていただいて、非常に感謝しています。
保険診療で作られた入れ歯で少しでもお悩みの患者さんは、ぜひご来院くださって、自分に合った入れ歯をお使いください。