2025/03/05
上の前歯1本の入れ歯の患者さんは結構いらっしゃいまして、入れ歯でも快適に過ごされています。
思い切り自分の歯のように食べ物を何でもかむというようなことはできませんが、見た目を回復して、入れ歯とはわからないような入れ歯に作ることは可能です。
入れ歯で過ごせるのならば、ブリッジやインプラントのような危険なリスクを負うこともないので、安全で清潔な方法だと言えます。
●中央の歯(1番目の歯)がない人
真ん中の歯が歯の中では一番目立つ位置にありますので、見た目の審美的な要素が重要で、左右反対側の歯と同じ形や色の歯に修復するというのが基本になります。
まずは、左右反対側の歯に近い形や色の人工の歯を選び出して、選んだ歯をもとに、プラスティックの入れ歯を製作します。
ここではじめにプラスティックの入れ歯を作るのは、入れ歯自体がどうしても使えない場合もあるからです。
前歯の部分は舌先がよく当たる部分でもありますので、前歯に入れ歯を入れても大丈夫かどうか、確認するためであります。
それで問題がない場合には、さらに異物感の少ない薄くて小さな金属の入れ歯にして、より質の高い入れ歯に変更することをお勧めしています。
現在では、入れ歯とわからない、見た目のいい入れ歯が作れますので、安心していただけたらいいかと思います。
●中央の横の歯(2番目の歯)
真ん中の歯よりも少し小さい歯になり、側切歯と言いますが、この歯も前歯で目立つ位置にあります。
ただこの歯は、左右きっちりと整えた歯並びにする必要はなく、多少歯並びを変化させても面白い歯なので、大きさ・形・色が合っていれば、アレンジして歯を並べることも可能です。
真ん中の歯よりも小さいので、入れ歯も小さく、異物感も少ないかと思います。
この歯の入れ歯も、はじめはプラスティックで作り、問題がなければ最終的により快適な金属製の入れ歯を作られたらいいかと思います。
●犬歯(糸切り歯、3番目の歯)
八重歯とも言われ、女性でたまに若い頃の八重歯を再現したいという人もいらっしゃいます。
歯の中では最も根が長い歯で、かなりしっかりした歯であります。
この歯はかみ合わせにも影響が大きい歯になります。前歯から奥歯に変わっていく途中の位置にある歯なので、非常に大切な歯で、入れ歯を固定するために、あるいは入れ歯がハグキに食い込まないように支点としてよく使われる歯でもあります。
根が長いので、この歯だけが抜けるという症例は少なく、前後の歯も抜けているという状態が多いかと思われます。
ですので、この歯1本の入れ歯というのはほとんどないですが、他の前歯と同じく、まずはプラスティックの入れ歯を作り、その後に金属製の入れ歯に作り替えるという方法が、一番失敗なくスムーズに治療がすすむだろうと思います。