2024/06/11
入れ歯専門技工士の関戸です。
先日、新しい金属床の総入れ歯をセットされた患者さんの調整を院長に依頼されて、調整を行う中で、患者さんから、「とうもろこしを丸かぶりできました!」と言われました。
この総入れ歯は、セットしてまだ2週間ほどしか経過していないもので、とうもろこしを丸かぶりできるまでとはわれわれも思っていませんでした。
通常、セットされた入れ歯は、だいたい2~3週間は、噛みにくさや発音しにくさ、異物感、入れ歯の縁が痛いなどの症状がでるものですが、この患者さんの場合には、当初から順調だったこともあるのでしょう。
ご自身でいろいろ食べ物をチャレンジされたのでしょうか、それとも新しい入れ歯に対する適応力が高いのか、とにかく前向きに入れ歯に取り組まれている姿勢は感じておりました。
入れ歯は、本物の天然の歯ではなく、あくまで人工物ですので、ひとつの道具だと言えます。
新しい自転車に乗り慣れるのにも多少の時間とトレーニングが必要であるように、また新しい包丁を使いこなせるようになるにも時間と経験が必要であるように、入れ歯も同じく道具ですので、はじめからすぐにバッチリ使えるようになるわけでは決してないのです。
型どりの型や、かみ合わせがうまく行かないと、良い入れ歯は出来上がりませんので、患者さんとわれわれスタッフとまさに協力し合いながら作り上げていくものになります。
作り上げてセットした後も、当然、しばらくの調整を行っていかないと、かみ合わせもハグキの収まりも安定致しません。しかしながら、しばらくの時間と作業、トレーニングを続けていきますと、安定した状態になりますので、ここまで大変ですが、一緒に取り組んで行っていただきたいと思っています。
口の中は、患者さんによりさまざまな条件が異なりますので、すべての患者さんにとうもろこしを丸かぶりというわけにはいかないですが、ひとりでも多くの患者さんにそのように言っていただけるよう、今後も努力致したいと存じます。