2021/06/17
一般的にはあまり知られていないのですが、歯科技工士というのは、大きく2つに分かれています。1本の差し歯やブリッジを作る技工士と、歯がなくなった所に入れる入れ歯を作る技工士です。あと1つ、人数は少ないですが、矯正専門の技工士さんもいらっしゃいます。
技工士は全国で3万人ほどいますが、圧倒的に差し歯専門の技工士が多くいます。入れ歯専門の技工士はどちらかといいますと、少な目です。入れ歯を愛する技工士の私からしますと、残念ではありますが、造形的にかっこいい歯を作りたい!と考える技工士が多いのは、当然のこととも思います。
そして、歯医者さんも歯の治療専門なので、1本の歯を作ることもできないのですが、入れ歯専門の技工士も、差し歯やブリッジは基本的に作れません。餅は餅屋というわけで、やはり専門の者に作ってもらうほうがクオリティは高く、長期的に使用できます。
逆にいいますと、差し歯やブリッジ専門の技工士は、入れ歯を作ることはできません。例えて言えば、同じ球技なのに、野球とサッカーくらいの違いがあります。どちらも得意な人ってなかなかいらっしゃらないですよね。
同じように、歯医者さんも、差し歯が得意な人もいれば、入れ歯が得意な人もいます。
両方ともうまい歯医者さん探すのは至難の技かもしれません。
同じ口の中なのに、なぜそんなに分かれているのか?と思われるかと思います。
このように、考えていただけれたらどうかと思います。
手や足を失った方の手や足を作る義肢装具士さんがいらっしゃいますが、彼らは手や足のなくなったところに、手や足の代わりになる物を作ります。手や足はあって、手や足を痛めているところを修復していく仕事は理学療法士さんや作業療法士さんと言います。
われわれ歯科技工士も、同じく、歯のないところに歯を作る仕事と、歯(土台)のあるところに歯を作る仕事に分かれていると。
ないところに作る仕事と、あるところに作る仕事は、これは結構、ちがいます。
考え方も違っていると言っていいと思います。
このあたりが、入れ歯と差し歯を口の中でうまく共存させていくことの難しさでもあります。