2019/07/18
技工士の関戸です。
15年前に享年100歳で亡くなった祖母がいまして、30年以上使っている入れ歯がありました。新しい入れ歯を作ってあげたかった気持ちもありましたが、もう30年以上も使い続けて自分の体の一部になっている入れ歯を新調することは、少なからずリスクもあるので、そのままにしていました。
ところどころに問題点はあるような入れ歯でしたが、本人が特に不都合を言うわけでもないですし、100歳という年齢を考えて、新しい道具に適応して慣れていけなかった場合に、問題が発生しないとも限りません。亡くなる直前までその入れ歯で過ごしていましたから、実にいい入れ歯だったと思います。
そして、義理の祖母ももうすぐ100歳になるのですが、同じように30年以上入れ歯を使われていて、もう外出することはなくなったようですが、しっかりと食事をとり、よくしゃべり、家の中で動かれています。一度、下の入れ歯がゆるくなったので、こちらで裏打ちをした以外には、ずっと快適に過ごされてきたようです。
このように、100歳の祖母が2人とも、30年以上入れ歯での生活を送っています。
特に、入れ歯で大きな問題が起こっているわけではなかったようです。
最近では、インプラントをすすめる歯医者さんが非常に多いとも聞きますが、われわれは、入れ歯で充分快適な生活が可能であると思っています。
もし入れ歯自体に大きな問題があるのであれば、2人の祖母はきっと100歳まで生きられなかったと思いますし、30年の人生をある意味で、入れ歯が守り続けてきたと言ってもいいのではないかとも思います。
入れ歯を作る作り手としましては、このような30年以上も使っていただけるような入れ歯を提供できるようになりたいですし、できるだけ快適で心地よい生活を送っていただけたらと願います。
材料的な面や医療的な面で、30年もつと決して断言はできないですが、メンテナンスや修正を加えながら、結果的に何十年も使っていけるような入れ歯作りを心掛けたいと思っています。