2017/02/20
入れ歯の患者さんから、鼻の下のところをもう少しふくらませてもらえないかと言われることがあります。
あるいは、年をとったからかもしれないですが、ほうれい線が出てきて、これをなくすことはできないかと聞かれる方もいます。
入れ歯でどこまで希望にそえるかわかりませんがとお断りしつつ、できるだけ良い感じになるように、仮の歯並びの段階で修正を加えていきます。
鼻の下の部分は、前歯の上の歯ぐきの部分になりますので、比較的ふくらませるのは簡単です。要は、入れ歯のはぐき部分にボリュームをもたせればいいからです。
ただし、あまりふくらませすぎると、今度はぷくっとふくれたような形になって、逆に見ためが良くないので、少しづつ盛りながらちょうどよい厚みにしていきます。
この作業は歯科医師ができないこともないのですが、入れ歯専門の技工士が直接やったほうが早くきれいにいくと思います。また、そこまで希望を聞いてやってくれる歯科医院自体がおそらくないのではないかと思いますので、技工士がいる歯科医院を探すのがポイントだと思います。
あとは技工士がいたとしても、歯科医師の指示を聞いて作業するだけの技工士ではあまり意味はなくて、本当に患者さんの口元をきれいにしたいという熱意で取り組んでいないとなかなかスムーズに行かない作業ですし、美的なセンスもある程度そなわっていないと難しいと思います。
特に女性の患者さんの口元をきれいにするのは、患者さん1人1人の好みも違いますので、簡単ではないです。患者さんの話をよく聞きながら、瞬時に判断して、最後に形にしないといけないので、緊張する作業です。1回でうまくいくとは限りませんが、修正しては確認してもらい、また修正しては確認するという作業を行えば、数回でだいたい納得しただける入れ歯になっていると思います。
患者さんが言われるように、鼻の下をややふくらませるだけで口元に張りが出て、少し若く見えるといいますか、明るく元気な感じになることが多いです。患者さんは自分の口元を非常に熱心に観察されていますので、つくづく患者さんが望むことは正しいと思う時があります。これからも患者さんの話すことに耳をそばだててお聞きし、良い入れ歯に反映させていきたいと思っています。
歯の下をふくらませても、ほうれい線を完全になくすようなことは約束できないですし、ややほうれい線がましになったかなというくらいかもしれないですが、気になる方はぜひ希望を言っていただきたいと思います。
ただ、中には、ふくらませ過ぎたために、上の唇の内側がすれて痛いという人もいらっしゃいます。その場合には、逆に少しづつ削り落としてからきれいに研磨して様子をみてもらうという調整になります。
入れ歯ははじめてセットした時には、まだまだ口や口元になじんでいません。ですので、しばらく使っていただけると、より口元になじんできますので、最初から大きく修正するよりも、痛いとか、気になって仕方がないということでなければ、少しの調整で慣れていくということも大切です。
また、うちの医院では、入れ歯は1度作ったらおしまいではなく、具合が良くなければ、新たな入れ歯を作っています。1度目で何でも解決できるとは考えていないので、逆に、1度目の入れ歯をいろいろ試せる入れ歯だと考えていただければいいかと思います。