2016/09/17
みなさんは医療というものが、実際の現場では案外教科書通りに進められていないというとをご存知でしょうか。
例えば、身近な車の運転で考えてみていただきたいのですが、
路上を見る限り、厳密に教習所で教えてもらった通りに運転している人など、どこにもいないことが分かると思います。医療の現場でも似たり寄ったりであることはみなさんもちょっと想像したら分かるかと思います。
ところが、運転免許の場合は、教習所で習った道路交通法の通りに運転しなければ、たとえ些細なことであっても、警察が見ていたりすれば検挙されます。違反行為のすべてが検挙されているわけではないですが、そのくらい厳しいルールの下で、みんな緊張感をもって車の運転をしています。
これと同じように、歯科医師法でも、道路交通法と同じく、厳しいルール作りがなされているものと期待されるかもしれませんが、残念ながら、道路交通法よりも相当あいまいなルールになっています。さらには監視もほとんどなし。と言ってもいいでしょう。
つまりその中で自分を厳しく律して、医療倫理に基づいて治療する使命感を持ち続けることは相当困難です。
そもそも保険診療の場合には、さらに歯科医師法以外の「国民健康保険法」や「社会保険診療報酬支払基金法」などの制約があるので、その中でやりくりしようとすれば当然、歯科医師法の解釈のぎりぎりを利用して治療する先生がいても、何ら不思議はないのではないでしょうか(個人的には倫理的にはアウトなケースは多々見られますが)。
保険診療自体、表向きは治療優先ですが、ルールは教科書に沿って作られていません。
まあ驚きますよね。私も大学を出たての青二才のころは、国家試験では✖でも、現場では〇となるようなルールがあること自体に大変疑問を感じましたが、経済、医療費を抑えるという側面を考えると仕方がないものと今は理解できます。
保険診療自体のルールは実学に基づくものがほとんどですので、学術的に合理性があるかどうかは二の次なのです。つまり保険診療を忠実に採用している先生は少なくとも、教科書通りというのは難しいのではないかと思います。
中には費用度外視でやる先生もいますが、これは実際には保険制度では違法になります。例えば保険で銀歯しか入らないところを、うちはサービスで良い材料の白い歯を入れますよ。と良かれと思ってやったら、違法になるのです。サービスは全国一律が原則なのです。患者さんもサービスしてもらってラッキーと思うでしょうが、他言しない方がその先生のためです。下手するとその赤ひげ的な良い先生は罰せられます。
みなさんのために貢献している先生が罰せられるのです。なんとも納得いかないところですが、これが今の日本のルールなのです。
路上には警察がいるので抑止力にはなりますが、臨床の現場ではそれを止める、あるいは監督する人はいません。
みなさんは厚生労働省や地方自治体、医療保険を管轄する社保庁などが、その抑止力になっていると考えるでしょうが、おそらくみなさんが期待するような抑止力にはあまりなっていないというのが正直なところです。
もちろん、不正請求に対する抑止力にはなっていますが、不正治療にまで監督は行き届きません。
もちろん教科書通りがすべて良いとは言いませんが、もしみなさんが今の保険診療に不満を持っている場合には、歯科医師にも大いに問題があることは事実ですが、そのルールに問題があると考えていただけたら、少しは怒りも収まるかもしれません。
保険診療の先生の中には制約のあるルールの中で、本当によく頑張っておられる先生もいらっしゃいます。
私とは立ち位置が違いますが、そういった先生は私も尊敬しております。
当医院はその点、自由診療ですので、歯科医師法には縛られますが、それ以外は治療に障害となるものはありませんので、比較的自由度は高いのです。
監視役は・・・と言えば、スタッフの関戸と神藤になります。案外彼らが厳しいので、私も緊張感を持って治療ができます。スタッフが間違っていることはきちんと言える環境こそが、今の医療体制には必要なことではないかと思い、実践しております。