2015/12/04
技工士の理想は、入れ歯専門の技工士であれ、差し歯専門の技工士であれ、やはり自分が作った技工物が患者さんの口の中にセットされるときに、『ほとんど調整しなくてセットできたよ』とドクターに言われることです。そういう技工物を常に作っていきたいと思っています。
そうすれば、ドクターの診療台での調整する時間や労力も少なくできますし、長い時間口を開けている患者さん自身の負担も軽減されます。そして作った自分自身の技術の確認もできます。
良い技工物は、一石二鳥ではなく、三鳥にも四鳥にもなります。
これは、ひとえにドクターの型どりとかみ合わせの正確さがあって成り立つことでありまして、技工士はあくまで忠実に作る以外にないのですが、ドクターとの長年の経験の中で、最終的な技工物の確認の際に、これくらいならばスムーズにセットされるだろうという感覚はだんだんと作られていきます。
はじめてのドクターの型やかみ合わせでは、おそらく調整なしでセットされる技工物というのは、なかなかないのではないでしょうか。
1本のかぶせ物や詰め物の場合はあると思いますが、長くつながったブリッジのような連続したかぶせ物や入れ歯では、そのまま調整なくセットされるということは、ほとんどないと思います。
入れ歯の場合には、入れ歯自体は口の中に調整なく入ることはあるでしょうが、かみ合わせの調整は必ず必要になってくるかと思います。当医院の脇田院長と10年近くやらせていただいている中でも、何も調整しないで入れ歯が入ることは、小さな入れ歯の場合で1年に1回あるかどうかという感じです。
毎度毎度、調整なしの入れ歯を目指して作ってはいるのですが、歯ぐきというやわらかい粘膜のうえにセットされる入れ歯は、口の中で非常に複雑な動きをするので、そう簡単にはいかないです。
いつの日か、こちらの計算どおりの入れ歯が作れて、ドクターも患者さんもたった1分で入れ歯を入れるだけですむような技工ができるようになれたらいいなと、夢のようなことを考えている今日この頃です。