2015/10/26
1本のさし歯を作るときも、数本の入れ歯を作るときも、
われわれ歯科の専門家は、もともとあった歯の色や形を再現するように作るのが基本となっていますが、患者さんの多くは、もともとの歯よりももう少し人工的に美しい歯を求める傾向があると、日々の仕事から感じています。
実は、残っている天然の歯に似た歯を作るほうが非常に難しい仕事で、技術の高い技工士でないと無理な作業なのになってくるのですが、新しい歯を入れる患者さんのお気持ちはというと、「せっかく新しい歯を入れるのだから、もうちょっときれいなほうがいい」とか、「元の歯よりも一段階、色の白い歯がいい」と言われる方が多いです。
テレビに出ている芸能人の中にはあきらかに作り物と思えるような歯に変えている人もい
らっしゃるくらいなので、一般の方々もどちらかというと、自然や天然よりももう少しきれいな歯にしたいというお考えがあるのだろうと想像しています。
確かに、数十年使ってきた歯は、歯がはえはじめる赤ちゃんの歯のような白い歯ではなく、黄ばんでいたり、ひびが入っていたり、かけてしまっていたりします。決して白く美しい歯ではないと言えます。
腕の立つ専門家は、そこで力を見せたいと思いますし、歯科医師も天然の歯に近づけるのが理想だという考えで「これがいいのです」と説得させるかもしれません。
ですが、当の本人である患者さんが満足した歯にならなければやはり意味がないと思いますので、そこは一歩引いて、患者さんの希望に沿ったかたちで歯を作ったほうが、本来正しいのではないかと思います。
当医院では、前歯の見た目や審美性に関しては、『患者さんの希望を第一にする』という方針で院長から言われていますので、できるだけ患者さんの好みに合わせた歯にするようにしております。