2015/10/31
歯医者さんでよく、「今日は仮歯なのですが、最終的にはきちんとしたものが入りますから。」という説明を受けたことがあると思います。
仮歯というのは、最終的な人工の歯の前段階のもので、それなりに歯の形に見せた仮の歯ということになります。あくまで仮ですから、色や形はおおまかなものになります。
特に保険診療の場合には、手の込んだ仮歯というものを患者さんに提供するのは、現実的に難しいので、歯というよりは、単なる白いキャップのような仮歯であったり、色も形も歯とは思えないような前歯になってしまっている仮歯がございます。
技工士のいない歯科医院でドクターが診療台で作った場合に、このようなケースが多いと思いますが、前歯に関しましては、患者さんの社会生活も大切ですので、もう少しましな仮歯にしてあげられないものかと思うことは多々あります。
しかしながら、これはある意味で仕方がないことです。まず保険診療の短い診療時間内に、精度のいい仮歯を作ることが、時間の面でもコストの面でも難しいからです。
そして、歯科技工士のように理想的な歯の形づくりをする技術がドクターにはありません。「歯の専門家なのだから、歯の1本くらい理想的な形に作れるだろう」と思っている人も多いかもしれませんが、残念ながらそのような訓練はやっていないので、なんとなく歯の形だなというくらいにしか作れないと思います。中には技工が好きで技工士以上に素晴らしい歯を作るドクターもいらっしゃるでしょうが、そのようなドクターは非常にまれであり、ほとんどのドクターは、いわゆるきれいな理想的な形の歯というものは作れないと思っていただいていいかと思います。
その点、歯科技工士がいる歯科医院では、「仮歯」と言われるものであっても、普通の人が見て変な歯になることは少ないので、社会生活も心配ないですし、何より形がいいというのは、歯や歯ぐきにとっても良いと言えます。きれいな仮歯は掃除もしやすいので、歯の周りと歯ぐきを清潔にたもつことができます。
当医院でも、最終的な人工の歯にできるだけ近い、理想的な歯を仮歯として提供しています。ですから患者さんから仮歯について特にクレームを言われるようなことはないですし、「この仮歯のままでもいいくらいです」と言われる患者さんもいます。
見た目に関して、もう少し形を変えてほしいというご注文をいただくことは多いので、可能なだけ言われるとおりに修正するようにしています。
患者さんと何度も相談しながら理想的な仮歯になったときに、最後の型どりをして、最終的な人工の歯を作る作業に移りますが、この時にも仮歯の形が整っていると、製作の参考になるので、そういった意味でも仮歯は、非常に大切です。
院長もよく言われます。最終的な人工の歯の良し悪しは、仮歯の段階で決まるので、
仮歯が自由診療の一番の価値だと。