2023/03/02
技工士の関戸です。
ごくまれにお電話で、保険で作る入れ歯と自由診療で作る入れ歯の違いについて聞かれることがあります。
正直に申し上げまして、答えにくいのですが、作り方や材料、その前の先生の診断・処置・型どり・かみ合わせ・調整、技工士の技術など、数え上げればキリがない項目が違っていまして、一連の流れ、そしてサービスが細かい部分を含めて違うと思いますと、お答えしています。
高い料金をいただきますので、毎回、いい意味で緊張感をもちながら、来ていただいた患者さんを満足して帰ってもらいたいという志で取り組んでいます。
歯医者さんの多くは、やはり治療が一番のメインであり、入れ歯を一番に考えている歯医者さんは少ないと思います。入れ歯はどちらかと言うと、苦手に思っている歯医者さんも少なくないでしょう。特に大きなサイズの入れ歯になると、一部分の治療だけではなく、口の中全体を考えて取り組まないと、うまくいきません。
例えば、残っている歯の本数が入れ歯の本数よりも明らかに少ない場合には、残っている天然の歯よりも、入れ歯を中心にして考えていかないと、いつまで経っても解決しない場合があります。残っている歯は大切ですが、入れ歯としてうまく機能するように取り組まないと、使いづらい入れ歯になってしまいます。
また、歯だけでなく、ほっぺや舌も関係してきます。普通の歯の治療で、舌や頬が大きく関わってくることはないですが、入れ歯は、口の中全体をとらえていないと、作ってからまた作り直しというようなことにもつながります。
あと、保険で作る入れ歯の多くが、非常に分厚かったり、大きかったりします。また残っている歯にガチガチに取り付けてあり、取り外ししづらい入れ歯もあります。これは、入れ歯を作る技工士の技術の問題もありますが、歯医者さんにとって、入れ歯が外れたとか、グラグラ動くと言われて、たびたび調整するのが実は嫌なのです。しっかりと取り付けてあれば、そのようなクレームもないので、助かるということです。
しかしながら、ガチガチに取り付けられた入れ歯が、残っている歯に非常に負担をかけるので、次から次へと歯がグラグラし始めるということもよくあります。入れ歯は、バランスよく取り付けられないといけないのですが、必要以上に強い力で取り付けている入れ歯がほとんどだと思います。まだ残っている歯をできるだけ守るためにも、もう少し歯にやさしい入れ歯を作っていただきたいと考えます。
入れ歯は、入れ歯を専門的に自由診療で作るような歯医者さんで作られるのが、結局は、早道だと思います。これから先も続く歯の問題について、現状から悪くならないようにするためには、先のことも考えて作る入れ歯というのが必要になってきます。目先の問題だけではなく、長い目で見て、どういう入れ歯や治療がいいのかということをじっくり考えたうえで作る入れ歯は、将来的に、問題の少ない、リスクの少ない入れ歯につながっていくと予想します。